短編小説:「完璧すぎた完済」

こんにちは。

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「ずっとお金のかからない家をつくろう」
の工務店 株式会社スズモクの鈴木です。

その目指す理由や、つくる家の詳細は

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家づくりにとても関連のある

住宅ローン。

 

 

定年退職や何らかの

まとまったお金が入ったときに

繰り上げ返済を行う方がいます。

 

 

借金がなくなり、

バンザーイ!

 

とお祝い気分になると思います。

 

 

ただ都市伝説があるのです・・・。

 

 

 

短編小説:

「完璧すぎた完済」

佐藤健一の趣味は「節約」、

特技は「通帳記入」だった。

 

彼にとって、

35年ローンという鎖に

つながれた日々は屈辱そのものだった。

 

銀行に支払う金利は、

彼の血肉をすする吸血鬼のように思えたのだ。

「絶対に、定年までに終わらせる。

銀行には一円たりとも余分な利息はやらん」

それが彼の口癖だった。
彼は昼食を500円以内で済ませ、

飲み会はすべて断り、

夏場もエアコンの設定温度を28度で死守した。

 

妻の美咲は呆れつつも、

夫の執念に気圧されて従っていた。

そして、その日はやってきた。

 

購入からわずか25年。

本来ならあと10年続くはずの

ローン残高「1,200万円」を、

一括で繰り上げ返済する日が。

パソコンの画面が光る。

ネットバンキングの「実行」ボタン。
震える人差し指が、

カチリと音を立てた。

『手続きが完了しました。ローン残高:0円』

「……勝った」

佐藤は深く息を吐いた。

肩に乗っていた

重たい岩が消え去ったような浮遊感。

血管の中をエンドルフィンが駆け巡る。

 

「これで俺は自由だ!誰にも縛られない、俺の城だ!」

彼は祝杯をあげようと、

数年ぶりに「プレミアム・ビール」を

冷蔵庫から取り出した。

プシュッ、という軽快な音がリビングに響く。

冷たい黄金色の液体を

喉に流し込んだ、その瞬間だった。

ドクン。

胸の奥で、今まで聞いたことも

ないような警鐘が鳴った。
あまりの激痛に、缶ビールが床に落ち、泡を吹く。
(え……?なんで今……?)

薄れゆく意識の中で、

佐藤はリビングの天井を見上げた。

やっと自分のものになった天井を。
そして、視界がブラックアウトした。

気がつくと、佐藤は真っ白な

役所のような場所に立っていた。

目の前には、黒いスーツを着た

顔色の悪い男が座っている。

 

 

名札には「係長:死神」と書かれていた。

「えー、佐藤健一さんですね。享年62歳。

死因は急性心筋梗塞。……ふむ」

死神は手元のタブレットを

スクロールし、眉をひそめた。

そして、哀れむような目で佐藤を見た。

「佐藤さん、あなた、さっき死ぬ直前に何しました?」

「え?ああ、住宅ローンを完済しましたよ!

全額繰り上げ返済です。人生最大の達成感でした」

佐藤は胸を張った。

死んでしまったのは残念だが、

借金を残さずに逝けたのだ。

妻に迷惑をかけずに済んだ。

これは男の勲章だ。

しかし、死神は盛大なため息をついた。

 

「ハァ……。これだから

『真面目な日本人』は困るんですよねぇ」

「何がです?」

「佐藤さん。『団信』って知ってます?」

「ええ、団体信用生命保険でしょう?

住宅ローンの契約者が死亡したら、

保険金でローンがチャラになるやつ……あ」

佐藤の顔色が、死人なのにさらに青ざめた。

死神は淡々と続けた。

「そう。もしあなたが、

返済ボタンを押す前にビールを飲んで死んでいれば、

1,200万円の借金は保険でゼロになりました。

 

 

そして、あなたが必死に貯めた

手元の1,200万円の現金は、

そのまま奥様の元に残ったんです」

「……」

「でも、あなたはボタンを押してしまった。

つまり、手元の1,200万円を

銀行に差し出した直後に、

心臓を止めてしまった。

奥様に残ったのは、借金のない家と、

すっからかんの預金通帳です」

佐藤は膝から崩れ落ちた。

 

25年間の節約。我慢した家族旅行。

すり減らした靴底。

それらすべてが、銀行への

「寄付」に変わった瞬間だった。

「1分ですよ、佐藤さん。あと1分、

ビールを飲むのが早ければ、

あるいは返済ボタンを押すのが遅ければ、

奥様は1,200万円の現金を手にできた。」

死神はタブレットをポンと叩いた。

「銀行の担当者は今頃、

あなたの葬儀で弔電を打ちながら、

裏でガッツポーズしてますよ。

『回収完了!しかも団信も使わずに済んだ!

完済おめでとうございます、

そしてご愁傷様です』ってね」

佐藤は叫ぼうとしたが、声が出なかった。

 

白い空間に、事務的なアナウンスだけが響き渡る。

『次の方ー。お呼び出し番号44番の方ー』

地上では、妻の美咲が、

記帳されたばかりの通帳と

夫の遺影を見比べて、

複雑な表情で溜息をついていた。

~FIN~

 

 

 

住宅ローン完済後1分というのは

ないと思いますが

実際に、完済後数ヶ月で亡くなる方の

お話はよく聞きます。

 

 

当人でなく残された方の

お話しか聞けませんが

「繰り上げ返済なんて・・・」

 

というお話ばかりです。

 

 

65歳以上で保険などに

加入しようとするとかなりの高額です。

 

 

住宅ローンも残り金額が少なくなれば

金利負担も大きくはありません。

 

まぁ保険だと思ってもっておくのもいいかと思います。

 

 

都市伝説のひとつとして

憶えておいてください。

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