こんにちは。
パッシブハウスx
「ずっとお金のかからない家をつくろう」
の工務店 株式会社スズモクの鈴木です。
その目指す理由や、つくる家の詳細は
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家づくりをすることで
ご夫婦が始めてお互いのことを
知り、大きな心理的トラブルが
起きることがあります。
一つの物語を紹介します。
図面の向こうに見えた
“本当のあなた”。
家づくりが夫婦の絆を
「再設計」するまでの物語。
私たち夫婦、健太と美咲は、
結婚して3年。そろそろマイホームを、
と夢を膨らませていた。
賃貸マンションの小さなリビングで、
毎晩のように住宅雑誌を広げては、
「こんな家に住みたいね」
「週末は庭でバーベキューかな」と、
キラキラした未来予想図を描いていた。
この頃の私たちは、お互いのことを
「穏やかで、価値観も似ていて、
きっと何事もうまくやっていける」と
信じて疑わなかった。
家づくりという、
人生の一大イベントで、
まさかお互いの
「初めて見る顔」に
戸惑うことになるなんて、
想像もしていなかったのだ。
最初の違和感は、
ハウスメーカーとの打ち合わせが本格化し、
間取りの細部を詰め始めた頃だった。
「ここの収納は、
奥行きがあと5センチ深い方が、
あのケースがぴったり収まるはずだ。
そのためには、隣の壁を少し…」
健太が、設計図の
ミリ単位の数字を
指差しながら、熱心に設計士に問いかけている。
私は内心、
「え、そこまで気にする?」
と驚いていた。
普段の彼は、
確かに几帳面ではあったけれど、
ここまで細部に執着
するタイプだとは知らなかった。
一方の私は、
「全体の雰囲気が良くて、
家族が笑顔で過ごせれば、
細かいところは
それなりで
いいじゃない」という感覚だった。
壁紙を選ぶときも、
「わあ、この花柄可愛い!
リビングのアクセントにどうかな?」と
直感で提案する私に、
健太は「可愛いけど、
この柄の繰り返しパターンが、
数年後に飽きないか?
素材の耐久性は?
他の家具との調和は?」と、
冷静に分析を始める。
彼のその言葉は、
決して間違ってはいない。
むしろ、慎重で、
先のことを考えていて、
頼りになるはずだ。
でも、私の心には、
ちくりとした棘が
刺さったような気がした。
「私の『好き』は、
そんなに軽んじられるもの
なのだろうか…」。
健太の言葉の裏に、
「君の考えは浅いよ」
と言われているような、
そんな被害妄想すら
抱き始めていた。
健太もまた、
私に対して同じような
不満を募らせていたのだろう。
ある夜、いつものように
図面を広げていると、
彼がため息混じりに言った。
「美咲は、もう少し真剣に
考えてくれないか。
これは一生の買い物なんだよ。
もっと情報を集めたり、
比較検討したりしないと、
後で後悔するかもしれないじゃないか」
その言葉に、カチンときた。
「真剣に考えてるわよ!
でも、あなたのその細かさ、
いつまでたっても何も
決まらないじゃない!
家づくりって、
もっと楽しいものだと
思ってたのに!」
売り言葉に買い言葉。
そこから、私たちの間には
冷たい空気
が流れるようになった。
家づくりの話は、
いつしか私たちにとって
「楽しい未来の話」ではなく、
「お互いの価値観を
ぶつけ合う戦いの場」
へと変わってしまっていた。
健太は、私が思う以上に
「失敗したくない」
「完璧なものを作りたい」
という責任感の強い人間だったのだ。
それは、家族を守りたいという
彼の愛情の裏返しなのかもしれない。
でも、その完璧主義は、
私には息苦しく感じられた。
私は、私が思う以上に
「プロセスを楽しみたい」
「感覚を大切にしたい」
と願う人間だったのだ。
それは、日々の暮らしに
彩りや温かさを求める
私の価値観の表れなのかもしれない。
でも、その自由奔放さは、
彼には無計画で無責任に
映ったのだろう。
「こんな人だったなんて、知らなかった…」
お互いが、そう思っていた。
そして、その思いは静かに心を蝕み、
相手への不信感や、時には
「この人と本当にこの先
やっていけるのだろうか」
という絶望感にまで
繋がっていった。
リビングに広げられる図面は、
もはや夢の設計図ではなく、
私たちの心の溝を可視化した
もののようだった。
そんなある日、
いつものように意見が
平行線を辿り、
重苦しい沈黙
が続いた後のことだった。
私がぽつりと呟いた。
「もう、家づくり、やめようか…」
涙がこぼれそうになるのを、
必死で堪えた。
その言葉は、本心半分、
彼の反応を試したい
気持ち半分だったかもしれない。
健太は、驚いたように顔を上げた。
そして、しばらく何かを
考えるように黙り込んだ後、
静かに口を開いた。
「…ごめん。俺、
美咲の気持ちを
全然考えてなかったかもしれない。
自分の理想とか、後悔したくないって
気持ちばかりが先走って…
美咲がどんな家にしたいか、
ちゃんと聞いてなかった」
彼の声は、少し震えているように聞こえた。
いつも自信に
満ちているように見えた彼の、
初めて見る弱々しい姿だった。
「私も…ごめんなさい。
健太がすごく真剣に
考えてくれてるのに、
それを『細かすぎる』
なんて言って、
ちゃんと向き合ってなかった」
堰を切ったように、
私も謝罪の言葉を口にしていた。
その夜、私たちは初めて、
お互いの「家づくりにおける不安」や
「本当に大切にしたいこと」を、
飾らない言葉で話し合った。
健太は、幼い頃に住んでいた家が古く、
様々な不便を感じていた経験から、
「家族には絶対に快適で安全な家を提供したい」
という強い思いがあることを話してくれた。
だからこそ、細部まで
妥協できなかったのだと。
私は、実家がいつも家族や
友人で賑わっていて、
その中心にはいつも笑顔の
母がいた記憶から、
「人が自然と集まるような、
温かくて明るい空間」
への憧れがあることを伝えた。
だからこそ、理屈よりもまず
「心地よさ」を求めていたのだと。
お互いの性格の
奥にある「背景」を知ったとき、
今まで「理解できない欠点」
としか思えなかったものが、
少しずつ「その人らしさの一部」
として受け止められるようになっていった。
健太の細やかさは、
深い愛情と責任感の表れ。
私の大らかさは、
人を包み込む優しさと柔軟性の表れ。
どちらが良い悪いではなく、
ただ「違う」だけなのだと。
それからの私たちは、少し変わった。
健太は、私の
「これ、いい感じじゃない?」という
直感的な意見にも、
まず「いいね。どうしてそう思うの?」と
耳を傾けてくれるようになった。
そして、彼の懸念点を伝えるときも、
「でも、こういう点はどうかな?」と、
以前よりずっと柔らかい
言葉を選ぶようになった。
私も、健太が図面の
隅々までチェックしている姿を、
「私たちの未来のために、
一生懸命考えてくれているんだな」と、
感謝の気持ちで見守れるようになった。
そして、
「ここは健太のこだわりポイントだから任せよう」
「ここは私が譲れないから、ちゃんと伝えよう」と、
メリハリをつけられるようになった。
もちろん、その後も小さな衝突が
全くなくなったわけではない。
けれど、以前のように
相手を打ち負かそうとするのではなく、
「どうしたら二人が
納得できる着地点を見つけられるか」という、
建設的な話し合い
ができるようになった。
あの冷え切ったリビングで交わされた、
「もうやめようか」という言葉が、
私たちにとっての
本当のスタートライン
だったのかもしれない。
そして今、私たちの家が完成した。
リビングの壁の一角には、
私が一目惚れした、少し大胆な
花柄のアクセントクロス。
でも、その素材の耐久性や
他の家具との調和は、
健太がじっくり吟味してくれたものだ。
キッチンには、健太こだわりの最新設備と、
私が選んだ温かみのあるタイルが並んでいる。
家のあちこちに、
私たちの「違い」がぶつかり合い、
そして美しく調和した
跡が残っている。
それを見るたびに、
あの苦しかった日々を思い出し、
そして、それを乗り越えて
今ここにいることを、
なんだか誇らしく思うのだ。
家づくりは、私たち夫婦に、
お互いの「初めて見る顔」を突き付けた。
それは、決して楽しいだけの
経験ではなかったけれど、
そのおかげで私たちは、
表面的な理解ではなく、
もっと深いところで
繋がり合うことができた。
図面の中に見たのは、
ただの家の設計図だけではない。
そこには、今まで知らなかった
相手の姿と、そして、
それを受け入れて共に歩もうとする、
私たち自身の成長の軌跡が描かれていたのだ。
この家で、私たちは
また新しい「初めて」を
たくさん経験していくだろう。
でも、もう大丈夫。
私たちは、家づくりを通して、
本当の意味で「二人で一つになる」
ことを学んだのだから。
~FIN~
いいお話ですね。
実際に家づくりの打ち合わせでは
自宅で夫婦だけで話し合いをすると
ケンカになってしまうので
うまくまとめてくださいと、
家づくりなのか
夫婦の仲裁なのか
よくわからない
最前線の一番前に
出されることがあります。
私の言葉でケンカになることは
避けたいので慎重に言葉を選び
メリットやデメリットをお話してますが
背中にいやな汗を
かくこともあります。苦笑
上記の物語のように
お互いをよく理解出来るようになることは
多いので、その課程も良き思い出となるために
立ち向かっていただければと思います。
もちろん私でよければ
仲裁???に入りますよ。
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